腹黒王子の取扱説明書
たった一行。麗奈らしいと言えば、麗奈らしい。

今日は何もなかったか?

少しホッとする。

メールが届くだけマシか。

搭乗前に打ったメールの返事も素っ気なかったし。

思わず笑ってしまう。

少しは俺がいなくて寂しいと感じているだろうか?

意地っ張りな彼女。

俺の事を恋しがればいい。

俺の事をもっと欲しがればいい。

他の事は考えられないくらい頭を俺の事で一杯にして……。

二件目は麗奈のメールの数分後に来ていて、亮からだった。

「あいつからなんて珍しいな」

亮からのメールを開き、さっと目を通す。

【今日受付で、メガネをかけた小太りの男が中山さんにしつこく絡んでた。今日は俺が助けたから大丈夫だったが、気をつけろよ。】
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