腹黒王子の取扱説明書
「何か言った?」

俺は横目でキッと須崎を睨み付ける。

「…いいや」

俺の眼光に怯んだのか、須崎は後退りどうぞどうぞと言わんばかりにドアノブに手をやって恭しく扉を開ける。

「亮、世話になったね」

俺が亮に声をかけると、こいつはニヤリとした。

「ホント、レアだな。お前って意外に独占欲強いんだ」

「何の話かな?」

俺は目を細めて亮を見据える。

「こっちの話。まあ、わかってると思うが病人襲うなよ」

「信用ないな」

俺がフッと微笑すると、亮は口角を上げた。

「普段冷静な奴ほど、何のきっかけで突然豹変するかわからないからな」

「……豹変ね」

俺はクスッと笑ってみせる。

「それとも……すでに豹変したか?」

亮の眼光がキラリと光る。
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