俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「…それって、マジで言ってんの?」

「弟のことだぞ…冗談で言えねーだろ普通。」

「…なんで?俺への当て付けかなんかか?」

「ふーっ。ただただ純粋にだよ!おまえに代わって、悪いムシでも着かぬよう見張ってるうちにさぁ…兄の女に恋をして、心傷める高校生ってとこだよ。」

「頼んだ覚えないぞ。」

「おまえのためじゃなくて琴乃のため…いや、自分のためにだ!慶太の奴、ほっとけなかったんだよ。」

「…」

「このままほっといたら、おまえの立場は…」

「わるい!」

「え?」

「これから、ちょっと、リサのとこ行かなきゃならないんだ、俺。」

「…」

「で、いつの便で発つんだ?」

「!それって、俺と一緒に帰るってことか?」

「…まさか。」

「…そっか…ま、おまえには、目指すところがあるもんな!大丈夫だな!」

「なにが?」

「うん。とにかく!きちんと言葉で言ってやれ!自分がどうしたいのか…話合った方がイイ!これは忠告だからな!じゃあな…」


その日から、
駿祐と紺野との連絡は途絶えていた。


琴乃のもとにも、メールが届かなくなり…

青い時季(とき)と言う時間を刻むことができていた、それぞれの歯車が、
止まったり、戻ったり、噛み合わなくなっていて、

いつしか、その時計の針は動かなくなっていた。


それでも、流れていく時間を刻む、
別作動の振り子だけが、ゆっくり揺れていて…

まるで、今の気持ちを現しているかの様に思えた。
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