俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜

罰とバチとバツ

プールサイドには、
なんとも言えない空気が流れていた。


どちらを応援したものか、分からないまま、
その兄弟対決を観戦し、

いつもとは様子が違う、
なかなか、水中から上がってこない慶太に

なんと声をかけたらいいのか…

その時だった。


「お〜い!兄弟水入らずを邪魔するなよ〜!」


コーチのメガホン声に、
その場に居た皆が救われた。



皆がシャワーへと向かうのを見送ると、
話し出したのは駿祐だった。


「もう一回やるかぁ?」

「…」

「ま、何度やっても同じか!これだけは負けれないから、俺。」

「これだけはだぁ?」

「そーだよ。あとはぜーんぶおまえが持ってる。」

「なにが」

「頭脳も体格も愛敬も情も…友達の数なんか、おまえの半分もいねーぞ、俺。」

「慰めてるつもりか?」

「いや、これは嫌味だ!そして、真実だ。」

「なんだソレ。」

「去年、俺は自信があった。水泳界の中ではまだまだでも、おまえには負けないって自信だよ。楽して勝てる方法で、果たし状を叩きつけたってワケ!だから、罰がくだってあの怪我だ!」

「…」

「それでも挑んだ、おまえのいさぎ良さに完敗ってことだよ!自分を蔑むことはないんだぞ!今日だって…カッコイイよ!おまえはホント!」

「……どうなんだよ?」

「ん?」
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