俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「そんなこと思ってないけどさぁ、」

「前に、駿祐がホテルに誘った時、」

「んなことあったか?」

「信じられない!あの時はヤケクソな感じが嫌だったから…でも、後になって後悔したんだからね!」

「ウソだよ、覚えてるって!できれば思い出したくなかったけど。」

「…どうして受け入れなかったんだろうって、ずっと思ってた…言葉じゃ伝えられない気持ちでも、そうなることで、通い合えたんじゃないかって」

「アレはアレで正解!断られて目が覚めた。悲観的で、自分のことだけに精一杯だったから、俺。」

「今は?」

「やるしかないって感じ!ドクターが厳しいんだよ。同情も遠慮もなくってさぁ。」

「それも大変だね。」

「でも、心配かけた皆に、復活した自分を見せたいから頑張れる。」

「そっか。」

「だから琴も、自分のこと大切にしろよ。俺のために…合わせることない。」

「駿のためじゃないよ!あたし今、自分が…駿と……一緒に…」


そんな琴乃の手を、繋ぎなおした駿祐は、
引っ張るよう歩きだした。

「え?ちょっ、なに?」

「行こ!ホテル。」

「!」

「もう、我慢の限界!俺なんか、高校の時からだかんな〜!」

「…ムッツリスケベ?」

「おまえな〜!」



こうしてふたりは、
ヘンに恥ずかしがることも、イイカッコばかりつけることも、気を使いすぎることも減り、
精神的にも、何でも話せる大人の付き合いへと、変化を遂げていったようにもみえた。
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