妖しがりて寄りてみるに
出発日
早朝6時35分。
私は新幹線の中にいた。

新幹線の後、電車とバスに乗り継いで、やっと夕方に着くみたい。


パパも今日出発だから、申し訳なさそうに送り出してくれた。
車で送ってあげられたら良かったんだけど…って。


仕方ない。


私の荷物は、宅配便で送ってもらった。

持っていくのは、手荷物と手土産。

さっき買った駅弁とおやつ。



そして、大事な大事な携帯。



【今から出発
 行ってきま〜す】


って5分前にメールしてみた。
もちろん篤くんに。


返事はまだない。

こんなに早い時間だもん。
きっと寝てるよね。



…夏休みだし。



でも不思議と、さみしい気持ちにならないのは、昨日のキスの効用なんだと思う。




たぶん顔、にやついてるし。


昨日の夜も、嬉しくてなかなか眠れなかった。


ずっと、こんな気持ちが続けばいいのに。



その時、バイブが鳴った。



【オハヨ
 気をつけてな。
 せっかくだから楽しんで来てな】


あ〜あ。
完全ににやついてるよ、私の顔。


篤くんラブ!


そして、新幹線は走り出した。



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