妖しがりて寄りてみるに

笑っている蓮くんの表情は、月明かりのせいか、ずいぶん妖艶に感じる。


蓮くんは、よく来てるのか思ったより埃っぽさはない。



薄暗くてよく見えないけど、ソファーが一つ置いてあるみたいだった。


「とりあえず、座ろうか。」


ソファーに並んで座ったけど、いったい何を話していいのかわからなかった。



「ヒヨちゃんは、どうしたいの?」

優しく、蓮くんが聞いてきた。


「わからないけど…
 私、蓮くんのことが好きみたいなの。」


精一杯の告白だった。


「彼氏いるんでしょ?
 悪い子だなぁ」


それでも、優しい優しい声。


「蓮くんのことが好きって思ってから、全然連絡してないもん。」

「じゃあ、ヒヨちゃんが何してるかもしらずにいるんだね。
 可哀相に。
 ヒヨちゃん、いつからそんな悪い子になっちゃったの?

 お仕置きしなきゃ…」


蓮くんの言葉に体がビクついた。



私は、逃げられない。


だって、蓮くんの欲求を望んでいるから。



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