恋愛喫茶店 ~罪と一緒にスイーツを~
店内に戻ると、斉藤君が、お客様と話していた。
背は斉藤君とほとんど同じくらいだから、175~180はあると思う。
年は多分、20代の後半、私や斉藤君よりも年上なのは確かだった。
「すいません。どうしましたか?」
斉藤君とその人の間に入って、話しかける。
斉藤君は少しほっとした表情で、私を見ている。わからないことがあったらしい。
「ちょっとバターを買いにきたんだけど、もう品切れみたいで……明日には入ってるかな?」
バター等の乳製品は、斉藤君の担当外だった。早く戻ってきて、よかった。
「はい。今は在庫も切らしてまして。明日の朝にはもう入っていると思いますよ。」
商品の方に目を向けると、確かに1つもなかった。でも、それ以外のは置いてあるし、ちょっと、オススメしてみよう。
「100%というわけではありませんが、こちらの商品はどうですか?マーガリンとバターが半分ずつで、値段も少し安いですよ?」
「いや、それだと、あんまり味がしなくなっちゃうんだよ。コクも出なくなるし。」
「もしかして……お菓子を作るつもりなんですか?」
「お、よくわかったね。君もお菓子作ったりするの?」
顔が明るくなって、少し笑顔が出ている。同じ趣味を持つ人を見つけて、嬉しくなったのだと思う。