海までの道 ~あなたと私の距離~
『おいしいね。そうだ、航太はイタリアには行ったことがあるの?』
「…ううん、ないよ」
『そうなんだ。でも、さっきの写真見た時、懐かしそうに見てたから、行ったことあるのかと思った』
「知り合いがね。住んでいるんだ」
『えー、イタリア人』
「ううん、日本人。仕事でイタリアに行っているんだ…」
そういいながらまた、遠くを見つめていた。
そんな顔を見ていたら、私はこれ以上そのことは何も言えなかった。