first love
「あのさ、こんなとこで泣かないでくれる?
俺、他に客待たせてんだけど。」


翔のため息。

いくらVIP席とはいえ、迷惑だよね。


「…ごめん……」

あたしは涙を拭いて立ち上がった。




かっこ悪い。

もうやだ。



これ以上自分を嫌いになりたくないのに。




あたしは翔に連れられて出口の方へと歩いてった。





「かっこ悪いね、あたし。
迷惑かけてごめんね。」

店を出たところで翔にバッグを手渡された。



「美華、今、幸せ?」





初めて会ったあの日、
「幸せそうじゃない」と言った翔。

確かにね。
あの時はそうだったのかも。



だけど、翔と過ごす毎日は少なくともそれまでよりは幸せだったよ。




もしあの日々を幸せというのだとしたら、


今は……



「幸せだよ」







あたしは翔に笑いかけた。



「じゃあね」



あたしは歩き出す。


もう来ない。
会わない。

これが最後。



「……美華!」



なのに、翔…









振り向くと抱きしめられてた。




「えっ、翔……」


「嘘つくな、幸せじゃないくせに」



< 103 / 251 >

この作品をシェア

pagetop