first love
あたしはさっさと準備して、店長の家へと向かった。

そのタクシーの中で、マナミのメールにあった掲示板を見てみると、
完全に翔と抱き合ってる写真が貼られていた。



きっと、店長も見てる。

今、どんな気持ち?
怒ってる?
泣いてる?









オートロックをくぐり抜けるとあたしは店長の部屋まで走った。



鍵もかかってない。




その部屋で、店長は何をするでもなくぼーっとしていた。


ショックを受けてるのは
それだけで分かった。





「店長…」


帰ってくるなりあたしを抱きしめた。



「心配した……」





あたしは、罪悪感で涙が溢れた。



泣く資格なんてない。

堪えようとしても溢れて止まらない。



「ごめんなさい……」



何度、この人を裏切るんだろう、あたし。




「あたしね、昨日…「聞きたくない」


そう言って店長はあたしを押し倒した。

「何も言うな。
何も聞きたくない。」



あたしは初めて、店長の涙を見た。



「ごめんなさい……」


謝ることしかできない。





人を傷つけるということが
こんなにも苦しいなんて。


謝ったって何も変わらない。



翔に抱かれてた時に許された気でいたあたしが憎い。



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