first love
家に着いてあたしたちは早速婚姻届を書き始めた。


「難しいことばっか聞きやがって」

慣れない言葉ばかり並んでる。




とりあえず書き終えた。

あとは証人のところだけ。



「証人って誰にする?」

「あたしは、マナミ。
友達マナミしかいないし」


店長は池田の名前は出せなかった。


「じゃあ、俺、コーキに頼もうかな」


「誰?それ」


「あれ、この前あったじゃん、コーキだよ。」



あたしたちに沈黙が走る。


「あれ、会ったことなかった?」



初めて聞く名前だし。

もちろん会ったこともない。

「誰と間違えてるの?」





あたしは適当に流して、ケータイに視線を移した。




「あぁ、ごめん。
美華といないときはコーキとばっかりいるからさ、もう会わせたつもりでいたよ。
また紹介するな」


言いたいことはあったけど、我慢した。


だって、あと少し、あと少しでこんなこともなくなる。


来月翔が仕事を辞めたらもう何も悩みはなくなる。




「うん。
じゃあさ、コーキくん呼ぶ時さ、マナミも呼ぶ。
一緒に証人書いてもらおうよ」

「げっ、俺、またあの女に説教されそうだなぁ。
結婚反対されたりすんのかなぁ」


翔がそう言うとあたしたちは笑い合った。



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