うちに動物が来た
うちに猫が来た_エピローグ
翼が居なくなって、1ヶ月。
元の生活に戻りつつある。



「もう三年が卒業する時期かぁ」



ゆっくり歩を進める。
はすは今日、用事があるとかでさっさと学校から帰ってしまった。

一人言をぽつりと呟き玄関に到着。
ふとリビングの電気が付いている事に気づいた。
父さんが帰ってきたのだろうか、毎年この時期父さんは帰ってくる事が多い。

少し嬉しくて、玄関のドアを開けた。



「ただい」

「葵おかえり!!!」



ぎゅっと強く抱きしめられた。
父さんじゃない、大好きな彼の匂い。

信じられなくて固まっていると、ぽろぽろと涙が溢れ出した。
そんな私の姿を見て目の前の彼が困惑する。



「ちょ、葵?」

「…ずっと待ってた」

「…待たせてごめんな」

「っ…おかえり翼!!」

「ただいま!!!」



1ヶ月前の様な黒ネコの耳と尻尾は無くなっていた。
だけど彼の笑顔も、声も、腕の力も、変わらず私の大好きな翼だった。

ぎゅっと抱きしめ返す。
翼はここに居る。

こつ、と額が重なる。



「翼、好きだよ」

「オレはもっと葵の事が好き!!だからおしたおしたい!!」

「そ、それはダメっ///」



これからは、ずっと一緒だよ。


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