Magic Academy ~古からの盟約~
「…確か、カギを渡せって、言ってた」

「カギ?」

そらの言葉にヒュープリッツァが聞き返す。

「うん。そう言ってた。てっきりクルのことを言ってるんだと思ってたんだけど…」

そう言ってクルを見る。

「でも、僕何にも持ってないし。名前も違うから、たぶん間違ったんじゃないかなー」

チューっと蜜を吸うクルに、ヒュープリッツァは顔をしかめる。

「なんにせよ、暫く単独で動くのは危険だろ」

シークが言うと、ウォルフもその言葉に頷いた。

「そうだな。だがどうする?こいつを守るというわけにも」

ウォルフが言った時だった。

「里に戻れば安全だから。里まで送ってくれればそれでいいよ」

クルがにっこりと笑って言う。

「…お前、ふざけているのか?」

怪訝そうにウォルフが言う。

「ふざけてなんかないよー。でもさ、それしか方法なくない?妖精の森なら普通の人は入れないし、あの仮面だってきっとこれないけど。里まで送ってくれないなら、僕はそらのそばから離れないよ?」

クルはひゅっと飛んでそらの顔に抱きついた。

「ねぇ、里にいたほうがいいなら、送ってあげようよ」

そらの言葉に、シークははぁ、とため息をつき、仕方がない、と呟いた。


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