谷村優真の内緒話
バイトを終えた優真は柚子と共に近くのラーメン屋「東京拉麺」へと向かう……と、思いきや柚子に連れていかれたのは以外なところだった。連れていかれたのは夜の繁華街。いかにもチンピラや不良がたむろっていそうな場所だった。
「ちょっと先輩!なんでこんなとこに……」
「もう少し先、東京拉麺より旨いとこあるんだよね。値段も安いし。店内が少し汚れてるのが玉に傷かな」
柚子の言った通り、少し歩いたところにラーメン屋があった。山田屋と書かれた看板は年季が入っていて、今にも剥がれそうだった。
「汚いっていうかボロボロですね」
それはこの店を見た大半の人が抱く感想だろう。
「この店、大正から続く老舗らしいよ。看板も開店当初からずっと変えてないって」
嘘臭い、優真はそう思った。詳しくはないがこの看板、当時の人々が読めるのだろうか。優真の視線の先には黒い文字で、和風の書体で「夜露死苦」と書いてあった。
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