KANAE -嫉妬という名の悪夢-

交換日記

「はる、おはよ!」
35人目のあいさつ。
「おはよ……叶えくん」
「おう!」
叶えくんは満足そうに笑って、思い出したようにカバンから大学ノートを取り出した。
「交換日記しよーぜ」
「えっ?」
「頼む」
「う、うん」
「じゃ、決まり!明日渡してな」
叶えくんは大学ノートを私の机に置いて、友達の元へ走って行った。
こんな簡単な会話だけでも、私の胸は飛び出そう……。
「おっはぁ、はる」
陽菜だ。
「おはよう」
「あれ?そのノートなんなの?」
「交換日記」
表紙を開くと、男らしい筆ペンで書かれた字がお出迎え。

“HARUとKANAEの交換日記”

さらに開くと、シャーペンの字が1ページの半分ほどを埋め尽くしていた。
「へー、叶えっちの字じゃん。ラブラブこーかん日記?バカップルだねぇ」
陽菜が覗き込む。
バカップル……なわけないじゃん!

“5月24日 叶え
今日は俺の人生でいちばん緊張した日!
メールでこんなに緊張したのは始めてだな〜
でもいい返事が返ってきてよかった。マジありがと!!!はるだーいすきだ!
俺は1年のときから好きだったはると付き合えてめっちゃ嬉しいんだけど、はるはどうなの?
俺と付き合えてよかった?
そこんとこが心配なんだよなぁー
まぁこれからもよろしくな!はる!
もいっかいゆうけど、大好きだぞ!♡笑”

「ひっぇー!なんてヤツだ叶えっち。こんなことそう簡単に言えるもんじゃないよ!」
「ほ、ほーんと」
言いながらも、私は赤面した。
あー!もう、ヤバイヤバイ。
私だって大好きだし。とは言えないけど。
「なんて書くの?はるは」
「えーっと……なんて書こっかな。まだ決まってない」
「ふーん……ってか、ほんとあんたって幸せ者だよねぇー。あんなモテ男と付き合えたなんて、一生の誇りだよ」
言い残して、陽菜は前を向いた。

“5月25日 はる
叶えくんへ
大好きって言ってくれて、ありがとう。
私も大好きだよ!照
私はほんとに、入学したときから叶えくんに一目惚れしてた。だからきのう告白されたときは夢なんじゃないかって本気で思ったよ!
だから嬉しいとかいうもんじゃなかった!
告白してくれてありがとう。

それから私からも聞きたいんだけど……お姉ちゃんと私って全然違うから自信が持てません。
どうやったら自分に自信が持てるのか教えてほしいです。”

読んでは書き直し、書き直しては読みの繰り返し。
休み時間にこんなに集中したのは初めて。
明日って言われたけど、もう今から渡そうかな……。

私は席を立ち、深呼吸した。
そして、叶えくんの席へ向かう。

その間に私は聞いた。

「アイツさぁ、超ムカつくんだけど。死んじゃえばいーのに」
陽菜の声を。
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