《詩集》螺旋階段

tadpole

『tadpole』


雨に打たれた日曜日
胸を叩くようなサイレンが
鼓動よりも強く鳴っていた

すいすいと
視界の端を自由に泳ぐ
記憶の隅を
焦がして跳ねる

鈍色のオタマジャクシよ

過去も現在も消してしまって
すべてを零に戻しておくれ

細い指
ピアノの音色
あの子と描いた拙い未来

すべてを零に戻しておくれ

二人が出逢った雨の日も
二人で過ごした晴れの日も
大きな口で飲み込んで

代わりに
あの子に明日をおくれ

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