片想い連鎖
ヒヤッと頬に冷たいものが当たったのを感じた。



「えっ!??」



ベンチに座っていたわたしは上を見上げるとそこには少し意地悪そうに笑う高梨くんがいた。



「へへっ。びっくりした?」



その悪戯っぽい少年のような笑顔に胸がドキッとする。



「あ、うん」


「ごめんね。はい、どうぞ」



そう言いながら、さっき私の頬にあててきた缶ジュースを渡す高梨くん。



「これ飲んで」


「あ、ありがとう…高梨くんはジェットコースター乗らないの?」


「俺、ああいうの苦手だし、それに渡辺さん元気なさそうだったからさ」



高梨くんはそう言いながら、私が座っているベンチに腰をかけた。



「そ、そうなんだ」



高梨くんが買ってきてくれたジュースのプルタブをあけ、口をつけた。


少しの間、二人の間に沈黙の時が訪れる。


しかし、それを破ったのは高梨くんだった。



「…大和となんかあった?」


「ええっ、どうして?」


「だって二人いっつも仲良さそうなのに今日は全然話さないからさ」


「………全然仲良くないよ。私のことからかって面白がってるだけだと……思う…」


「そうかな?俺は違うと思うよ?」


「…だって昨日実は私のこと嫌いって言われたんだよね。


それで……


まぁ私だっていっつもイジメられてるし、どっちかっていうと嫌いだけど、そんなに面と向かって嫌いなんて言われたことなかったから……」



ほんとはキスのことがショックだったというのがあるけれど、そこはさすが高梨くんに言えなかった。



「アイツも素直じゃないからな〜」


「えっ?」


「まぁそれはアイツの口から直接聞いた方がいいと思うから俺は言わないけど、大和は渡辺さんのこと嫌ってないよ。
ほんとに嫌いなヤツはアイツは自分から関わろうなんてしないから」



「そっか…」



そう思いながら下を向いていると

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