異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「そりゃそうかも……だけど」


あたしは服の上からギュッとペンダントを握りしめる。そして、この世界へやって来た経緯を思い出してキッとレヤーを見た。


「それじゃあ、偶然じゃなかったら? レヤー、言ったよね? 日本からここに来る前、現れたのは召喚の魔方陣だって。
なら、誰かが何かの意図を持ってあたしかレヤー……もしくは両方をこの世界へ喚んだんじゃない?
それに、このペンダントが言ったんでしょ?
“縁ある土地へ連れていく”――って。
なら、少なくともあたしにとっては無意味じゃない国じゃないと思えるけど」

「ま、そうですねえ。あの魔方陣は明らかに和さんを喚ぶために発動したものですから、確かに無関係とは言い切れません」

「今、さらっと重要なことを言わなかった?」

「あだだだ! 毛を引っ張らないでください~だって、私は巻き込まれただけですよ。銘菓が欲しくなって巡ってただけなのに」

「は? あんたお菓子を買うためだけに日本にいたの?」

「そうですよ。夢中過ぎてご飯を食べるの忘れて、途中で倒れてしまいましたが」


……そこまで菓子が欲しかったんかい。


でも、まあ。偶然とはいえあたしが助けてよかったのか悪かったのか。あたしにとってはレヤーが着いてきてくれて大助かりだけどね。


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