異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



違うって、そう答えるしかないでしょ。

だって、あたしが巫女って。ちょっと苦労性でもごくごく普通の女子高生で何の力もないのに。何の冗談だと言いたくなる。


「いいえ、この帝国の総力を挙げた召喚の儀式で確かにあなたが喚ばれました。去年とは違い、今回の儀式では確実に巫女が喚ばれたと誰もが手応えを感じたのです。途中で妨害があり、あなたは帝都ではなくこのような辺境に現れてしまいましたが、もともとは帝都できちんとした待遇をとご用意をしておりました」

「帝都……って。その、ディアン帝国の首都ってところ?」

「はい。現皇帝がおわします、ジャダンです。海沿いに建てられた壮麗な城が綺麗な、とても美しい街です」


セリス……皇子はにこやかに説明をしてくれた。さすがに顔は上げたけど、膝を着いたまま。あたしは気になって、彼の前にしゃがんで視線を合わせる。


「あの、別にあたしはそんな大それた人間じゃありませんから、そんなふうに畏まらないでください。巫女ってのはわからないけど、あなたがここまでわざわざ迎えにきてくださったんですよね?」

「あなたにお会いできるならば、と自ら希望して参ったのです。何も苦にもなりませんでした」


表情を崩さずにフレンドリーにおっしゃる皇子様だけど……なんとなく、あたしの中では小さな警戒心が生まれた。


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