異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「それなら逆でしょう?あたしの方がロゼッタさんのお世話になりっぱなしなんだから、あたしの方からプレゼントさせてよ」


あたしはディスプレイされた服のひとつを手に取ると、試しにロゼッタさんの胸に当ててみた。


それは緑色の薄い生地のチュニックで、丈が長いからワンピースとしても着られそう。ウエストが絞ってあるからシルエットが綺麗に見えて、スタイルがいい彼女にはピッタリだ。


「いや、わたしが和に贈るね!」

「あたしだって、ロゼッタさんには感謝してるんだから。いつも助けてくれて、いつも一緒にいてくれてどれだけ心強いか。すご~く、すごく感謝してるの。だから、あたしがプレゼントするの!」

「和こそ、わたしをいっぱいいっぱい気遣ってくれた。わたしだけじゃなく、たくさんの人を助けてきた。だから、わたしがみんなを代表して和に贈る」

「あたしが!」

「わたしが」


延々と同じやり取りを繰り返した後、店員が恐る恐るひとつの提案をしてきた。


「あの~……それだけ譲れないのでしたら、お互いに贈りあいされたらどうですか?」


遠慮がちな店員さんを見た後、私とロゼッタさんはお互いに顔を見合わせて噴き出した。


「なるほど、それいいね」

「プレゼント交換か。思い付かなかったな……でも、ナイスアイデア。ありがとうございます」


あたしがお礼を言うと、店員さんは困惑しながらも、ごゆっくりと頭を下げて離れていく。


「さてと、それじゃあ。ロゼッタさん、好きなのを選んでください。それをプレゼントさせてもらいますね」


< 674 / 877 >

この作品をシェア

pagetop