異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。





どれくらいの時間が経っただろう。レヤーが目眩ましの術を掛けてくれたお陰か、戻ってきた円盤たちを再度やり過ごせたけど。また来ない保証はない。


途中でお昼ご飯を食べたし昼寝もした。それなのに、セリス皇子とハルトの気配がない。


暗い中ではあたしのペンライトかロゼッタさんの松明が頼り。日が暮れたかさえわからない。


「ナゴム、タイクツ?」

「あ、うん……」


気を使ってくれたのか、入り口で警戒してたロゼッタさんが話しかけてきてくれた。そういえば、彼女は全然休んでない。


「ロゼッタさん、休んで」

「ワタシ、ネムラナイ、ヘイキ!」

「そんなことない。休んで」


あたしはロゼッタさんの大きな背中を押すと、ダチョウへ押し付けて片目をつぶった。


「レヤー、1時間は寝ないとダメって伝えておいて。でないとあたしがずっと起きて寝ないって」

「は、はい……」


レヤーがロゼッタさんをうまく説得したらしく、なら30分だけと渋々承諾した。


「ナゴム、ガンコネ」

そう言いながら、ロゼッタさんはあっという間に寝息を立てる。物音か立てば起きるらしいけど……。


やっぱり疲れてたんだよね、と少し笑った。


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