さよならさえ、嘘だというのなら

「私……ウサギ殺して……ない」

俺の腕の中で凪子は言う。

「ウサギがいるって颯大君に聞いて、家からエサを持ってきて……あげたけど……殺してない」

「信じる」

「……ありがとう」

そのまま凪子は泣き続け

俺はずっと
小さな子供をあやすように
彼女の気が済むまで
ずっと彼女を胸に抱きしめる。

凪子の全ての不安を解消したい。

いや
俺が全て解消しようって

絶対できる。





って

思った俺はバカだった。




彼女の深い罪と哀しみは


そんなに


簡単じゃなかった。








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