結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
ひとしきり飲んだ後、時間が遅かったこともあり、マユだけでなくユウとレナもそのままシンヤの部屋に泊まることになった。

久し振りに男同士、女同士の話をしようと男女で部屋を別れた。


シンヤはベッドに、ユウは布団に横になると、二人はまるで高校生の頃のように話し始める。

「二人が付き合い始めて、もうどれくらいになるんだっけ?」

シンヤが何気なくユウに尋ねる。

「半年かな。」

「うまくやってんだろ?」

「うん。」

「逆に、よく半年も話題にならなかったもんだ。オマエらのバンド、デビューしていきなり大人気だったじゃん。」

「まぁ…。そうとも言えるかな。ヒロさんのお陰で出だしから順調過ぎたから。」


ヒロは実力派の人気ミュージシャンで、若き日の`ALISON´の5人を発掘してロンドンに連れて行き、自分の元でミュージシャンとして育てた、言わば育ての親のような、恩人とも言える人だった。

10年間、ロンドンで経験を積んだ彼らを日本でデビューさせたこともあり、彼らの日本での音楽活動は華々しいデビューから始まり、新人らしからぬ実力と人気で世間を騒然とさせた。


「急に姿を消して、10年経って現れたら人気バンドのギタリストだもんな。おまけにレナちゃんと一緒に暮らし始めたとか言って、ホントにビックリしたよ。」

「もう、その話はいいじゃん…。」

ユウは照れ臭そうに頭を掻く。

1年留学していたことからシンヤの方が1つ歳上だが、高校2年の時からの同級生で、同じ軽音部に所属していた二人は気の合う親友となり、あの頃のユウのレナへの想いを一番よく知っているシンヤにとって、ユウの長かった初恋が実を結んだことは、とても嬉しいことだった。

「で、今後のことはどうすんだ?」

「今後のこと?」

突然のシンヤの問い掛けにユウは首を傾げる。

「もういい歳じゃん。子供じゃねぇんだし、一緒に暮らしてんだから必然と考えないか、結婚とか。」

「………。」

“結婚”と言う言葉に、ユウは複雑に表情を曇らせた。

「考えてねぇのか?」

「考えたことないよ…。まだ付き合って半年だし…。ずっと一緒にいたいとは思ってるけど、結婚って考え、まだオレの中にはない…。」

「そうなのか?」

「うん…。」

ずっとレナを好きだったユウなら、今すぐにでもレナをお嫁さんにしたいとでも言うかとシンヤが思っていたのに対し、歯切れの悪いユウの言葉に、ユウの中には結婚に対して何か複雑な思いがあるのかも知れないとシンヤは思うのだった。
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