結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
ユウはひとりになった部屋で、ごろりと寝返りを打つ。

(ごめん…。でも今は、レナに優しくされるほどつらいんだ…。)

またレナを悲しませてしまっただろうなと思いながら、ユウはため息をついた。

(レナは何も悪くないのに…。)

頭ではわかっているのに、大好きなレナさえも遠ざけてしまうほど、ユウの心は暗闇の中をさまようように何も見えない…いや、自ら目を閉じて何も見ようとはしなくなっていた。

(レナはこんな情けないオレが好きなんじゃない…。)



(どうすればいいのかわからないよ…。)

レナはリビングのテーブルに頬杖をつきながら、さっきのユウの言葉を思い出す。

ユウがどんどん自分から遠ざかって行ってしまうような不安と寂しさがレナを襲う。

翌日からは撮影の仕事で3日ほど海外に行くため、家を空けることになるのだが…レナは、その間にユウがもっと遠いところへ行ってしまいそうな気がした。

(このまま離れてしまいたくない…。)



翌日。

レナは野崎の写真集の撮影のため、海外へと飛び立った。

頭の中はユウのことでいっぱいだったが、レナはどうにか気持ちを切り替えて、仕事に没頭する。

休憩時間になると、レナは木陰で水を飲みながら、ユウはどうしているだろうと考える。

(ちゃんと食べてるかな…。)

そばにいることを拒まれても、レナはユウがいない毎日なんて考えられない、と思う。

どうすれば元のように笑い合えるのだろう?

どうして急にこんなことになってしまったのだろう?

レナは答えのない迷路をさまようように、胸に湧き上がるたくさんの疑問符を抱えながら、ユウのいない3日間を過ごした。



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