ガキ的愛情表現の結末【完】
♥︎♥︎10
3カ月後――。


サッカー部の、地区大会決勝前日の夜。


有希と隆史がリビングルームでお笑いDVDを見ていると、


――プルルル……。


家の電話が鳴った。


アホ面をして笑っている子供たちが出そうもないことを見て取ると、


「まったく……役に立たないんだから」


口の中のセンベイと不満を飲み込みつつ、桂子は受話器を取った。


「あら~、元気?
 なんだか話すの久しぶりね~」


普段より高い桂子の声に、有希はテレビの音量を上げて対抗したが。


「そうなのよ――アハハ」


派手な笑い声にお気に入りの漫才のオチをかき消され、


「ちょっとお母さん、あっちで話してよ」


桂子を隣室に追いやろうとした。


「哲也くんから電話よ」


桂子が話し込んでいた相手は娘のカレシだった。


「ちょっと~、だったらすぐ代わってよ」


有希は桂子から受話器を奪い取った。



「もしもし?」

「おまえ……ケータイ出ろよ」

「あ、ケータイ、部屋だ」

「ったく」

「ごめんごめん。で、何? 急用?」

「……おまえ、今何してんの?」

「DVD見てる。お笑いの」

「おもしろい?」

「愚問だね」

「……オレにDVD貸してよ」

「いいよ」

「じゃあ、今から借りに行くから――」


話はサラッとまとまって。


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