今日僕は魔女を拾いました
博仁は昨日のアレは悪い夢だと思いながら、台所へと移動した。

そこはすでに味噌汁の香りと博仁が使ったことのなりグリルから焼き魚のこげた匂いがしていた。


「へっ???」


「おはよう、ご主人さま。
朝ごはんできてますよ。
今日も電車のお仕事行くのでしょう?」


にっこり笑って白いブラウスに黒のスカート、そして白の割烹着をつけたさゆりが料理を運んでくる。


「さ、さゆりさん?
き、君、本当に・・・僕の家に住むつもりなのかい?」


「や、やっぱり嫌ですか?
こんな地味な魔法使いとは暮らせませんか。」


「あのさ・・・ちょっと質問だけど、この朝ごはんも魔法で?
どう見ても手作りな気がするんだけど。」



「はい、料理は小さい頃から興味があって田舎のおばあちゃんから教えてもらったの。
だから全部私のお手製ですが・・・お口にあいませんか?

もしかして洋風の朝食の方が好きとか?
だったら作り直しますよ。」


「いや、いいよ。
すげ~~~!朝からこんな手の込んだメシ食えるなんて。
でも・・・こんなに料理が上手なら、ちょいちょいって資格とっちゃって小料理屋でもすれば、君ならすぐに儲かる
んじゃないのかい?」


「だめです。
私は人間じゃありませんから、誰かにお仕えするしかこの腕はふるえません。
人間界で利を得てしまうことは神様から禁じられているんです。」


「じゃ、この材料は?」


「あの、そこの荷物の中においしそうな野菜がたくさんあったのと、ご主人様のお財布の中からお買い物をさせてもらって・・・でも決して無駄遣いをしないように心がけて・・・。」


「すげぇ・・・君すごいよ。
その野菜は田舎から親父が送ってきた野菜なんだ。
実家が農家でさ、とれたばかりの野菜を送ってくるんだけど、僕は料理できないから知り合いとか上司にあげようかと思っていたんだよ。

だけど・・・あらためて親父の作った野菜はうまいな・・・。
僕も少し料理の知識があればいいんだけど。」


「あの、私がお教えします。
いえ、そんな教えるなんてだいそれたものじゃないですけど、ほんとに簡単なんです。
切って揉むだけで簡単な漬物もできちゃいますし、経験と慣れだけでいろいろできちゃいます。」


「そっか・・・。
あっ、大事なこと忘れてた。
君のご家族にここにいることを知らせないといけないんじゃないの?
僕のような知らない男の家にいるなんて知られたら叱られてしまうとか?」

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