初恋も二度目なら
そういうわけで、悠希さんと遭遇したことを、部長に言うわけにはいかない。
たとえ部長は私にとって、何でも言い合える親友でも・・・悠希さんと約束した、というか、半ば強引に約束させられた節はあるけど!
でも最終的には私は合意したんだし。
だからなのかな。
なんか私・・・部長を裏切っているような気がする。

と思いながら、この会議を取り仕切るハンサムな部長を、私はそっと見た。

「・・・というわけで、来月のスイス及びドイツの出張は、川端と木村に行ってもらう」
「はいっ!!」

「よっしゃーぁ!」「やった!」と言って喜んでいる、川端くんと木村さんを見ていると、私まで嬉しくなる。

そのとき、川端くんと目が合った私は、川端くんに「おめでとう」と声を出さずにいうと、ニッコリと微笑んだ。

「パスポートは持ってるな?」
「はいっ」
「有効期限は」
「十分余裕あります」
「よし。川端と木村は、チョコレートとワイン工場の者と、引き続きスケジュール調整をしてくれ」
「分かりました!」
「チケットやホテル、通訳等の手配は・・・芥川」
「はいっ!」
「おまえがやれ」
「お任せくださいっ!私、旅行会社に知り合いがいますから。リーズナブルな価格でアップグレードな旅行ができるよう、ベストを尽くします!」と芥川さんは言いながら、気持ち前に身を乗り出した。

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