初恋も二度目なら
「部長・・・。他に作戦は・・・?」
「ない。これで行けると思ったからな。チッ。こんなことなら、殿(との)ヅラ持ってくりゃよかった」
「部長はそんなカツラを持ってる・・・じゃなくって!今から行くのは婚活パーティーであって、仮装パーティーじゃないんですがーっ!」

どうやら部長は、私の言い分を全然聞いてないらしく、「いっそのこと、金髪モヒカンにした方がよかったか」とまで言いだした。

「それだと別の意味で余計目立つでしょ!もう。部長ったら」と私がブツブツ言うと、部長はハンドルに突っ伏している顔をそのまま私の方に向けて、ニカッと笑った。

やっぱりメガネをかけていても、部長の「ニカッ」には底知れない破壊力が満載だ!

「こ、これは、婚活パーティーなんですよ?」
「分かってる。しゃあねえなー。じゃー、このまま素で行くか」
「え?いいんですか?」
「今日は私服だし、室内外を行き来できる分、前より人は多いだろう。俺一人独占状態でモテることはないと願いたい」
「そうですね」

あぁ。ハンサムな人にも、それなりの悩みがあるのね。
私には永遠に縁のないことだわ・・・。

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