初恋も二度目なら
「そんな驚いた顔するな」
「あ。いやその・・・・・・すみません」
「べつに。兄貴が死んだのは20年も前の話だから。気にするな」
「でも!長峰さんにとっては、お兄さんで、ご家族の方だから、20年経っても・・・いつまでもその・・・忘れることはできないでしょう?」
「まあな。忘れるつもりはねえし」
「あ・・・そうですよね。私ったらホント、言葉かけが下手で気が利かなくて。すみません」

ああもう、私ったら!自分で墓穴掘りまくり!!
これ以上口を開くと、もっとヘンなことを言いそう・・・。

うつむいた私の頭に、部長の大きな手がポンと乗った。
その手を部長はよしよしとあやすように撫でながら、「おまえは優しいからな。何でも自分のことのように受け止める」と言ってくれた。

優しいのは・・・少なくとも今は、部長の方だと思う・・・。

「あさみさんは兄貴と同じ大学で、学部も同じ法学部。今弁護士してるって。“史也(ふみや)以上のイイ男がいまだに見つからないから結婚してない”って言ってた」
「そうですか・・・」
「俺・・・兄貴が死んだとき、俺は17だった。それから3年経って、兄貴が死んだ20歳(ハタチ)になったとき、実は俺、ホッとした。俺、生きてるって。当たり前なんだけどな。兄ちゃんは病気じゃなかったし。バイクの事故で死んだんだし」と長峰部長は言うと、コーヒーを飲んだ。
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