恋のお相手は小さな男の子
少年の弟は正直者です



昼休み。


夕香と共に机にお弁当を広げて、今から大好物の唐揚げを食べようとお箸で摘まんだその時、


「葉月っちー!!」


私を呼ぶ大きな声が教室に響いた。


突然呼ばれた自分の名前に驚いたせいか、お箸からポロッと唐揚げがお弁当箱へと戻っていく。



「葉月っち!葉月っち!」



そう言って私の席までスタスタと歩いて来る彼女は教室にいる皆の注目の的だ。


ただ、彼女はそんな事にも気付いていない様だけど。


頭の上で緩く纏められたお団子がふわふわと揺れ、外国人ばりに彫りの深い顔。


更にスタイル抜群で、身長も170はあるとかのモデルみたいな女の人。


彼女こそ、私の相談に乗ってくれていた相良萌(サガラ モエ)先輩だ。



「相良先輩、どうしたんですか?」


「どうしたんですか?じゃないっつーの!」



相良先輩のいきなりの登場に、私も夕香も目を丸くしているのだが、そう言いながら相良先輩はジッと私を見据える。



その目がちょっと怖い。


私、相良先輩に何かしたっけ?


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