恋のお相手は小さな男の子
少年にタックルされました



「本日は~、素敵な出会いが~、待っている~。よ・か・ん!」



昼休みにそんな謎の鼻歌を歌いながら、夕香が睫毛にマスカラを塗る。


何度も重ねて盛りに盛られた睫毛はインパクトが凄い。



「今日はご機嫌だね。夕香」


「ご機嫌っていうか、気合い入ってるっていうか。そんな感じ」


「ふーん」



まっ、確かに気合いが入ってるのかも。


目とか、目とか、目とか。



「ふーん。じゃなくて、今日は葉月も行くんだからね!」


「うーん。分かってるんだけど」



夕香の様に楽しみ!という顔が出来ずにいると、夕香がこてんと首を傾げた。



「何か不満でも?」


「不満っていうか、気分が乗らないっていうか……」



ハッキリした答えを言わない私に、夕香も不思議そうな顔をする。



「何それ」



何それ。と言われても、何となく自分でも気合い入れるぞ!となれないだけなわけで。


これって言う理由があるわけでも無いんだけど……。


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