涙色のバレンタイン。
泣きそうになるのを、必死で堪えた。
「…で、でも。その人あたしとはあんまり喋んないし…」
「なんなら練習する?」
「練習…?」
「恋人の」
大雅クンの唇が耳元に触れて、ビクッと震えた。
嬉しいの反面に、ホンモノの恋人同士だったら。何て思ってしまう。
あたしの気持ちを知らないから、仕方がないし。
まだ言える勇気もない。
少しでも彼に近寄りたくて、「練習」をすることにした。
「明日からよろしくな。お前、名前は?」