セカンド☆ライフ

死んだらこうなった

なんと言うか…漫画やアニメで使い古されたオープニングで申し訳ない…

どうやら俺…

死んだみたいです…

車にハネられたみたい。
俺の足下には【元俺】だった物体が転がってます…

警官、救急隊、野次馬…
みんな俺の姿が見えないようです。

『あの〜…』

必死に心臓マッサージしてる救急隊員さんに話しかけてみたけど聞こえないらしい。
肩を叩こうとしたがすり抜けた。

(俺 今 幽霊ってヤツ?)
『どうしよ…』

(今こうして幽霊?として存在しているからか、死んだっていう実感がない。
意外なほど冷静。
いや待てよ?脳ミソないのにどうやって考えてんだ俺?体ないのに五感はどうなってんの?いや周りから見えないだけで肉体はあるのか?あれ今の俺って何?やだちょっとなんか急に怖くなってきたんですけど!)

『こんにちは〜♪』

(魂!?魂なの俺!?え!?なになに!?壁とかすり抜けちゃうの!?マジで!?じゃぁあんなとことかこんなとこにも入れちゃったりするの!?ヤベ!それおいしすぎね!?)

『お〜い』

(待て待て待て待て…落ち着け俺!まずは落ち着け!冷静に考えよう…そう冷静に…)

『落ち着いた?』

(うん、だいぶ落ち着いた。いいぞ俺。流石だ。やればできる子だ俺は。)

『聞こえてるかい?』

(聞こえてるよ。つーかなんだよ人が大変な時にさっきからうるせぇな…)

(え?)

(あれ?)

『こっちこっち、後ろ後ろ』

!?
いつの間にか背後に見知らぬ男が立っていた。

(え?なにこの人?俺が見えるの?)

『やっと気づいてくれたか♪』

俺より少し年上…二十代くらいかな?細身で長身、爽やかな風貌に優しそうな笑顔。

『大丈夫?』

(死んでるんだから大丈夫とは言えないか?いやそういう意味じゃないか…えっと、なんて答えればいいんだ?)

『どうしたの?日本語わかる?』

『あ…いや…えっと…』

『うん?』

『あの…俺…』

『うんうん』

『死んだ…んですか…ね?』

『そうだね、そういうことになるね』

(やっぱりぃぃぃぃぃぃ!?あぁぁぁぁぁ…なんてこった…)

『あの…俺…幽霊…ってヤツですか?』

『そうだね、概念としてはそう思ってもらって間違いないと思う』

『そうですか…』

『まぁまぁ、そう悲観することもないよ?』

『え?』

『ここじゃなんだし…場所変えようか』

男はチラリと【元俺】に視線を落とした。

(あぁそうか…確かにここじゃなんか気まずいな…)
『あ…はい…』

『飛べる?』

『え?飛べ…え?』

『イメージするだけでいいよ』

そう言うと男はスルスルとその場から浮き上がっていく。

『えぇぇ!?なにそれ無理無理!!』

『落ち着いて、イメージするだけでいいから』

(お…落ち着いて…イメージ…って何をイメージしろと?飛ぶ?飛ぶことをイメージ?浮かぶ?スルスル〜って?)

!?
俺の体?がスルスルと浮かびあがる。

『え?ちょっ!なにこれ!』

『大丈夫、落ち着いて』

『大丈夫ってなにが!?』

『死にはしないよ、もう死んでるんだから』

(あぁすっげぇ説得力ある…)
『ハハ…笑えないっす…』

『大丈夫そうだね、じゃぁ僕についてきて』

『はい…』

どうして俺は彼について行ったのだろう。
日常の終りに出会った見知らぬ男。
非日常の混乱の中で、何故か彼は俺を救ってくれるような気がした。

彼との出会いが、俺の第二の人生の…セカンド・ライフの始まりでした。
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