セカンド☆ライフ
我が家…捜査本部に戻ると花子がいた。
机に突っ伏して寝ているようだ。

『あれ?花子さん戻ってたんすか?』

「…」

『寝てんのか』

『抜けてるんじゃない?』

『あぁ、そっちか』

抜ける…幽体離脱。
花子の特殊能力だ。
本人は忍術だと言い張っているが…

『しっかし…情報がなさすぎるよなぁ』

『人通りの多い場所で目撃者もなく人が消えるなんて…できるのかなぁ…』

『それなんだよねぇ…自警団がずっと見張ってたんだから…進展があるとすれば虎彦からだな』

『夜の担当者?』

『うん、夜は人通りも少なくなるし…』

『う〜ん…謎だらけだね』

『謎…か…』

(何か引っかかる…)

《唯里!詩乃ちゃん!》

《どうした虎彦?》

頭が割れそうなほどにけたたましい虎彦からのトーク。
俺と詩乃の両方に同時通話してるらしい。
そんなことできたんだ…

《新たな事件や!》

《事件?》

《夜の担当者も行方不明やねん!》

《は!?》

《とりあえず一旦捜査本部に戻るわ!》

《了解》

『ゆいりくん…』

『思ってたより大事だなこれ…』

しばらかすると虎彦がムーブしてきた。

『虎彦!詳しく!』

『おう、慌てなや…』

虎彦からの新情報。
1、監視者は虎彦含めて3人。
基本的に一人は予備人員で虎彦と夜間担当者が不在の場合のみ、代理で監視に当たっていた。
予備人員は無事が確認された。

2、夜間担当者が失踪したのはノイズ撤去後、佐和田と同日。

3、失踪時の所在は不明。

『自警団からも失踪者か…』

『これで俺もいよいよ他人事やなくなったな』

『遺族会をターゲットにした襲撃…の線はなくなったな』

『なんや自警団を疑ってたみたいな言い方やな?』

『疑ってたんじゃない、今も疑ってるよ』

『あ!?』

『自警団だけじゃない、遺族会も…潔白が証明されてない全てを疑ってる』

『そういうことか…』

『俺に対して潔白を証明できるのは俺自身と、ずっと一緒にいた詩乃だけだ』

『俺も疑われとんのか?』

『まったく疑ってないって言ったら嘘になるね』

『食えんやっちゃのぉ、それを正直に言うのは反則やで』

『保険だよ』

『え?え?』

詩乃は目をぱちくりさせている。

『詩乃ちゃんは駆け引きとか苦手そうやな?』

『信用できるだろ?』

『確かにな』

『え?えぇぇ?』

俺と虎彦はクスクスと笑った。
詩乃は不満気に頬を脹らませている。
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