バレンタイン戦線異常アリ

そう。
今頃克司は、ゲテモノ入りのチョコにむせかえっているに違いない。

私の渡した分はきっと一口でやめるだろう。

その後での、まさかの春香からの同じチョコ攻撃。

ざまーみろだわ。


「はは。でも案外うまいぜ。柿の種チョコみたいで」

「嘘。洋介って物好き」

「物好きで結構。こんな意地悪を思いつくような奴が好きなんだからな」

「……は?」


一瞬思考が止まる。

なんだって?


「和歌って鈍感? 俺、結構前からお前のこと好きなんだけど」

「え、え、え、だって」


洋介は、にやりと笑うと私に顔を近づける。


「さすがに失恋したばかりだし、俺も別に焦ってないから返事はまだいい」

「な、な、な」

「それにしてもすっげーチョコだったな。ホワイトデーにはこの三倍で仕返しさせてもらおう」

「ちょっと、洋介」

「返事もその時にくれ」


笑う洋介に、不覚にもちょっとだけときめいてしまった。

ちょっと待ってよ。私そんなに尻軽じゃない。


……でも。


恋を忘れるには新しい恋だって言うから、流されてみるのも悪くはないかもしれない。




【Fin.】

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