佐伯さん
ポンポン、
息してんのかわかんねえくらい静かに寝る凛香の頭に手をのせて優しく撫でた。
「…ん…」
寝返りを打った凛香が
「……れ、ん…」
と俺の名前を呼ぶ。
その小さく零れた言葉は俺の耳にしっかり届き、フッと頬を緩ませて…
「凛香おやすみ~」
それだけ言って、部屋を出た。
窓を開けてベランダに出ると冷たい空気が肌に触れる。
窓から見える景色はただ、暗い。
夜中だもんな~…
音のない夜の景色は、闇に包まれてるみてえで。
まるで凛香みてえだ。なんて思う