残業しないで帰りなさい!

それなのに、先に質問してきたのは白石さんだった。

「ねえ、青山さんっ」

「はい?」

「青山さんと藤崎課長って、どーゆー関係?」

「は?……ええっ!?」

なにその質問!

驚いて顔を上げ、思わず手が止まる。

「手、止めない!滞るから!」

「す、すみません。でも、どういう関係って言われても……。どういう関係でもありませんけど……」

どうしてそんなこと聞くの?もしかして、私が課長を好きなこと、バレてる?

「少なくとも知り合いであるんでしょー?」

「知り合いって、まあ、それなりには知ってはいますけど」

「ふーん。だってさ、一直線だったんだよ」

「本当に一直線でしたよね!」

沢口さんまでそんなこと言って。
一直線って、何?

私、何か変なことしたのかな?

私が不安な顔をすると、二人は昨日の流れを話してくれた。


私が下に降りた後、二人は私を手伝おうとして4階の応接室に来たらしい。
でも、入口で久保田係長が仁王立ちしていて中に入れてくれないから、そんなのおかしい!とそのまま人事課に行って藤崎課長を呼び出し、久保田係長と話をさせたらしい。
そして、入口で部屋の中に入れるように話をしていたら、茶碗の割れる音がしたから、久保田係長を押しのけて応接室に入ったらしい。
みんなが入ってきた直後に私は倒れたらしい。


うーん、そういうことだったのか。
なるほどねえ。
< 131 / 337 >

この作品をシェア

pagetop