嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 隼人さんは、今度はもっと大胆に脚なんて触ってきた。それも、やわやわうっすら触れるように触るから、どうしても動いてしまう。

 それに、動いちゃダメって言われると変に神経を使って、ますます敏感になってしまう気がする。

 隼人さん、きっとわかっててそんなこと言ったんだ。ホント、意地悪なんだから。

「……変なことしないって言ったのに」

「変なことなんてしてないよ。雪菜が勝手に変な気分になってるだけで」

「ええ!?」

 隼人さん、ひどい。

「嘘!俺、もう限界」

 隼人さんはそう言うと、勢いよく私をバスタブから抱き上げた。ああ、そんなに思いっ切り動いたら、絶対にけっこうな量のお湯が床に零れたはず。

 お湯のことばかり気にする私の視線に気がついて、隼人さんはフッと笑った。

「大丈夫だよ。下にタオル敷いてあるから」

「で、でもっ!」

 私をいったん床に立たせて急いでバスタオルで包むと、隼人さんはまたすぐに私を抱き上げた。

「わっ!」

 そのままあっという間にベッドに運ばれてしまった。でも、床を拭かないと、お湯が……。

 そんなことを気にしていたのに、ベッドに沈められて柔らかく唇が重なったら、床に零れたお湯のことなんて、どうでもよくなってしまった。

 あなたのキスはいつも優しくて、すぐに夢中になってしまう。

 そして、意地悪王子だったり優しい王子だったり、いろんな王子様になる隼人さんに深く深く愛されているのを感じたのでした。
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