嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

「それじゃあ、うちの主人がダメ男みたいに聞こえるよ?」

「えー?だって、雪菜の旦那さんって非の打ち所がないじゃん?でも、家に帰ったら超ダメ男だったりするのかなーっなんて思ったりしてさ。どんなダメ男か聞いてみたかったんだ」

「主人はダメ男じゃないもん!」

 またまた、そんなこと言っちゃって、と手のひらをパタパタさせてヘッヘッヘと花ちゃんはニヤニヤ笑った。なんで!?本当にそんなことないもん!

 私がムッとしたせいか、花ちゃんはごめーんと肩をすくめた。

「雪菜のダメ男列伝、聞きたかったんだけど、ホントに違うの?」

 ダメ男列伝って何!?

「違うよ!それに私、列伝って言うほど付き合ってないから」

「何人?」

 質問がストレート……。こういう時はちょっと戸惑ってしまう。

「……2人」

「旦那さんの前?」

「主人も入れて」

「エエッ!マジで!?嘘でしょ?だって雪菜、結婚したの最近だよね?」

「うん」

「旦那さんと付き合ってた期間が長かった、とか?」

「付き合ってたのは1年もなかったかな……」

「エーッ!それなのに、旦那さんの前は一人だけ?ヘエー?そんな人初めて会った!ヘエー」

 そんな物珍しそうにジロジロ見なくてもいいんじゃないのかな。

「じゃあ、最初に付き合ってた人、ダメ男だったでしょ?」

 花ちゃん、どうしても私をダメ男好きにしたいみたいだね?

 でも、考えてみたら瀬川さんって酷い人だった。ああいうのをダメ男って言うのかな?だとしたら、花ちゃんの予想は、あながち間違ってはいないのかも。

「ダメ男っていうか、酷い人だったかな……」

「おっ!殴ったりした?」

「殴りはしなかったけど……」

 あの時、突然家に来た時は一度だけ殴られたけど、付き合っている時は殴りはしなかった。痛いことはしたけど。すごく嫌だったけど。

「あれー、そうなの?じゃあ、尽くしちゃった感じ?」

 尽くしたのかな?あれを尽くしたと言うのかな?

「どうかな?ただ利用された感じ?」

「ふーん」

 なんか不満げ。花ちゃんの言うダメ男っていったい何!
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