嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 それは通りにある素敵なお肉屋さん。

 レンガに囲まれたショーウインドウには表に見えるようにソーセージが吊るしてあったり、中のショーケースにはいろんな種類のハムを断面が見えるように並べてあって、あんな童話に出てきそうなお店、一度入ってみたい!と密かに憧れていた。

 ある日、その憧れを叶えるべくショーケースの中のハムをどうしても買ってみたくて、辞書を何度も見てから意を決してお店に入った。

 これが私のドイツでの行動範囲を広げるきっかけになったと思う。

 残念なことに私はドイツ人から見るとかなり幼く見えるらしく、お肉屋さんのおばちゃんに高校生と間違えられたけど。それでも、狙っていたハムをなんとか手に入れることができたから、ちょっとだけ自信がついた。

 おっかなびっくりなドイツでの生活。少しずつだけど、なんとか閉じこもりから卒業しつつあると思う。
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