【完結】セ・ン・セ・イ
「やっぱり――……」

やっぱり、俺が、やらかしたことは、

「何か――……深刻な――」

教師、としては許、されな、い、深刻な、ミスで、

「――なんじゃ――……」

俺、ハ、

「もしかして――」

モシカシテ、キョウシ、失格デ、スカ?

あれ。

ソウ言エ、バ、モウ、クビ、ニナッタ、んだっケ――。


「あっおいっ!! 隼人!?」


慌テル、ナ、オチ、着ケ。

ソウイウ時、ハ、アイス、だってオ前、ガ、さっき――……


――――
――――――


「……っ痛!」

覚醒しのたは、ツキンと襲い来た頭痛のためだった。


で……、起きたら女の家、とか、マジであり得ねえ。

しかし果たして、グリーンやオレンジのドット柄ファブリックで飾られ、カラフルでポップな小物が並ぶその見慣れない小さな部屋は、どこからどう見ても女のものだった。


幸か不幸かベッドに寝ているのは女1人で、俺の身体中が軋むのはおかしな体勢のまま硬い床に転がっていたせいだ。

身を起こせば隣でいびきをかいているのは裕也で、女と2人きりじゃないというのがせめてもの救いだった。

寝間着らしきラフなTシャツ・短パンを纏い背を向けて寝ている女に、自ら近付いていってまで顔を確認する勇気は湧かないが、ベッドに寝ているのは間違いなく木嶋だろう。


居酒屋で話しながら飲んでいる内に失言し、さらにその後つぶれて寝こけたのだ、と理解した瞬間、もう二度と――歳とか枷とか関係なく――酒には呑まれるまいと、いや飲むまいと、心に誓った。
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