とけるほど、抱きしめて
心の葛藤
大学で私達は出会った。
カナは、天真爛漫で、沢山の友達に囲まれてた。

私と言えば、人見知りが激しくてなかなか輪の中に入っていけなくて。
俗に言う、ぼっち…。

いつも、校内のテラス席で図書館から借りてきた服飾の本を読みふけっていたっけ。

画材の色えんぴつで、スケッチBOOKに
デッサンを書いて、カラフルな色の洋服を描いて幸せな気分に浸っていた。
いつか、自分の描いた物が店頭並ぶ日を夢見て。

そんな時、いつも一つ離れた席で私と同じようにデッサンに夢中になって居る
学生がいた。

その人とは、何度か同じ講義を受けて居ることに。

バックから、パステルカラーのペンを
出して色を付けようとしたらカラカラっとペンケースが落ちた。

透き通るような瞳でサラサラの髪の彼は
そっとそのペンケースを拾ってくれて、
「何書いてるの?」
と、私のデッサンを覗き込んだ。
「あっ、えっとですね。洋服のデザイン画です。」

「なんかイイね。こうゆう服着たら
きっとその子は、ハッピーな一日になりそうなそんな服だね。」

「ありがとう。褒めてくれた人なんて初めてだから、照れちゃいます。」

ふっと、顔を合わせて笑った。

彼の名前は、
立花晴人私と同じ3年生。

それから、二人で会うことが増えて、
自然に付き合う様になっていた。

待ち合わせた駅のスタバで、
キャラメルマキアートを飲んでいた。
そこに、賑やかに数人の 学生が入ってきた。その中にいたカナ。
私の持っていたスケッチBOOKが気になるらしくて話し掛けてきた。

「同じ大学だよね?いつもテラス席で…。」
「あ〜。」
「デッサン見せて?」「うん…。」
「凄いねぇ‼︎ こうゆうの可愛い‼︎
めちゃくちゃ可愛い‼︎。」

「こうゆう服には、こんな感じのアクセがいいよ。」そう言って
カナは自分のミニスケッチBOOKを広げた。
カラフルなビーズのネックレスや
帽子に付けるコサージュ。
ピアス。
どれも凄く素敵で

「なんか嬉しくなっちゃいます」って
つい言ってしまった。
話してるとっても楽しくてお互いアド交換して別れた。

遅れて来た晴人に今会った話しをすると
ニコニコしながら聞いてくれた。

大学でも、カナと意気投合して、親友と呼べる友達になっていた。

彼の事を沢山聞いてもらって、カナの彼の話しを聞いて
お互い幸せだった。

そう、それまでは。

晴人に連絡すると、3回に一回は約束がキャンセルになり、就活のせいだと、
思ってた。




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