コンプレックスさえも愛されて。



真っ赤な顔を隠すように彬さんの胸に顔を埋めていると、髪を撫でてくれる彬さんが、沙耶香土日って予定ある?って聞いてきた。
付き合うようになって三ヶ月が経って、はじめての言葉に、なんだかジーンとしてしまった。



「漸く土日休めそうだからさ」
「はい」
「沙耶香が平気なら、温泉行かない?」
「え?…あ、えっと…」

しどろもどろの私を自分の身体から引き離した彬さんは、人目も時間も気にしないでずっと沙耶香と一緒にいたいんだけど?と、小首を傾げるようにして私を覗き込んできた。




彬さんはズルイ。
普段仕事をしている時はテキパキして、無駄が全くないくらいに言動がハッキリして、グイグイと周りを引っ張るっていうか、巻き込んでいくっていうか。


それなのにこうして二人きりになると、男らしさを前面に出しつつも、甘えるような言動をチラチラと見せるから、そのギャップに胸がギューンってなる。
しかも、自分よりも五つも年上の男の人、っていうのが、なんかもうたまらないのだ。


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