コンプレックスさえも愛されて。



「あ、のさ……不謹慎かも知れねぇんだけど…」

私の要領を得ないような告白の後で、彬さんは私をきつく抱き締めたまま、髪にキスをして。



「それって、そんな風に思ってたのに、俺とは恋愛してくれる気になった、って事だよな?」

噛み締めるみたいにして言われた言葉にハッとする。
恋愛を避けてきたはずの私が、彬さんには自然に、当たり前みたいに恋に落ちた事に今更のように気付く。



「あ、えっと…」
「沙耶香が落ち込んでんのに悪いけど……ヤベェ、すっげぇ嬉しい。だってそれって、過去の誰かに嫉妬しなくてもいいって事だろ?」

彬さんの予想外の言葉と、私をギュッと抱き締めて、首筋に顔を埋めるようにしているのにまた泣きそうになってしまった。



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