私-前編-
よみがえる悪
しばらくするとアキが家に来た。
兄が呼んだのだろう。
私はリビングから兄の部屋へ向かうアキについていった。
「説明しろ」
「メグさんですよ。」
アキはナツの事だろうと予想していたんだろうか、あっさり答えた。
「あぁ!?」
兄は立ち上がり、すぐ出掛けようとした。
「待ってやケン君!
メグさんはケン君が好きやったから、悔しかったって言ってた。
でも、もう関わるなって言ってあるし。
許せへんのはわかるけど、吉田も前向きに生きてくって思ってるやろうし、ケン君も…」
「わかったよ!!」
アキの話の途中でイラついた兄が言った。
兄は一人だけ何も知らなかったのが、悔しかったらしい。
メグさんの気持ちを知っていたのに、知らないフリをし続けて友達として付き合っていたから…
告白された時にキッパリ関わらなければ…
兄は自分を責めていた―…