私-前編-
記憶
それから兄は毎日病院へ通っていた。
そしてこの日私はアキと病院へ向かった―…
相変わらず目を覚まさないナツ―…
私は病室に居るといつも涙を流していた―…
震える私の手をアキはそっと握ってくれた―…
兄はナツの手をずっと握っている―…
その時だった…―――
ナツが目を覚ました!!
「ナツ!?」
兄がナツに声をかけた。
私とアキも傍へ行くと、ナツに声をかけた。
ナツは不思議そうな顔をして、言った―…
それを聞いた瞬間皆硬直した―…
“……だれ?”
えっ?…―――
……――ナツ?