メロディキッス ―人魚特別保護研究団体―
『な…なんでしょう…か…?』
緊張しているのかこちらを見ようとしない。
『貴方…新人?』
彼は顔をカァーっと真っ赤に染めて
コクンと頷く。
『名前は?』
ビクッと体を震わせる。
そして消え入るような声で―――
『バ…ッ…バッカル…ッ…』
今にも消えてしまいそうだ。
『バッカルね?
よろしく…!』
ニッコリと笑いながら水槽に手をあてる。
バッカルは少しビックリしていたが
ピッタリと手を合わせて
『よ、よろしく…おね、お願いします…。』
と言ったのだった。