I do does not matter.
関係ない。

-つまらない-



「ぐはっ…う゛…」


「おいおいその程度か?さっきの威勢はどうしたよ?」


まだ夜明け前の薄暗い裏路地で、数人の呻き声と、中性的な美しい声だけが響いている。


「女に負けるわけねぇんじゃなかったのか?んん?ついさっきまで喚き散らしてたろ?」


「がはっ…」


ドカッとなにかを蹴る音と中性的な声。


それに少し遅れていくつかの呻き声。


「刃物やらなんやら持ってた割には使い慣れてねぇし…ほんと期待して損したわ。おまえらもう要らね」


中性的な声が溜息を吐いてそう言った。


その少しあと。


「ぎゃあぁぁあぁぁっ…!!」


その場には叫び声が暫く響いていた。


「あぁ…やっぱ血って最高」


叫び声を背中に受けながら裏路地から出てきたのは夜の闇に溶け込みそうな程黒い一人の女。


唐突に吹いた強い風に煽られたフード。


露わになったのは美しい白金色の髪。


女の声は中性的で美しく、先程喧嘩をしていた女だとすぐにわかる。


女は月明かりに自分の手を翳し、こびりついた血を見ながらうっとりと恍惚の表情を浮かべていた。


女の顔は声と同様にこの世の者とは思えぬ程美しく、血すらも女を飾る一つの装飾のよう。


首元と耳、手首と足首についた、闇の中でも光り輝く妖精の装飾品が印象的だ。


装飾品の妖精には血と同様に紅く輝く宝石がついていて、更に印象を強くした。


「血も見られたことだし今日の余興はこれまでか」


女は一人呟いて笑い、フードを深く被り直して夜の闇に消えていった。


その後暫くして、叫び声によって通報を受けたらしい警察が裏路地に現れた。


裏路地の惨状を目の当たりにした警察は


「またティターニヤか…ここまで血塗れにされると後始末が大変だろうが…」


そう頭を抱えたのだった。


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