バレンタイン*少しの勇気をください。
朝のショートホームルームが終わると、いきなり前の扉がバンッと勢いよく開いた。
そこから現れたのは、綺麗な栗色の髪を弄んだ東雲くんだった。
「っ⁉︎」
ビックリしたあたしは目にも留まらぬスピードで机の陰に隠れる。
「ねぇ、今日薔薇野さん来てないの?」
甘い声で呼ばれるあたしの名前。
でも、あたしは出ていけないの。
…だって昨日決意したんだ。
東雲くんの好きな人との邪魔はしないって。